Keras モデル(通常は Python API を介して作成します)は、複数の形式のうちのいずれかで保存することができます。「モデル全体」形式は TensorFlow.js レイヤー形式に変換することが可能で、これを直接 TensorFlow.js に読み込んで推論や後続の段階でのトレーニングに利用することができます。
ターゲットの TensorFlow.js レイヤー形式は、model.json
ファイルとバイナリ形式のシャードされた重みファイルセットを含んだディレクトリです。model.json
ファイルには、モデルのトポロジー(別称「アーキテクチャ」または「グラフ」。レイヤーとレイヤーの接続状態に関する説明)および重みファイルのマニフェストの両方が含まれています。
要件
変換プロシージャには Python 環境が必要です。これは pipenv や virtualenv を使用して隔離しておくことをお勧めします。コンバータのインストールにはpip install tensorflowjs
を使用します。
Keras モデルを TensorFlow.js にインポートするには、2 つのステップがあります。1 番目に既存の Keras モデルを TensorFlow.js レイヤー形式に変換し、2 番目にそれを TensorFlow.js に読み込みます。
ステップ 1. 既存の Keras モデルを TensorFlow.js レイヤー形式に変換する
通常、Keras のモデルはmodel.save(filepath)
で保存し、モデルのトポロジーと重みの両方を含む単一の HDF5 (.h5) ファイルを生成します。このようなファイルを TensorFlow.js レイヤー形式に変換する場合は、以下のコマンドを実行します。path/to/my_model.h5
はソースの Keras .h5 ファイルで、path/to/tfjs_target_dir
はターゲットの TensorFlow.js ファイルの出力ディレクトリです。
# bash
tensorflowjs_converter --input_format keras \
path/to/my_model.h5 \
path/to/tfjs_target_dir
オプション: Python API を使用して TensorFlow.js レイヤー形式に直接エクスポートする
Keras モデルが Python で作成されている場合には、以下のように TensorFlow.js のレイヤー形式で直接エクスポートすることが可能です。
# Python
import tensorflowjs as tfjs
def train(...):
model = keras.models.Sequential() # for example
...
model.compile(...)
model.fit(...)
tfjs.converters.save_keras_model(model, tfjs_target_dir)
ステップ 2: TensorFlow.js にモデルを読み込む
ステップ 1 で生成した、変換されたモデルファイルを提供するには、Web サーバーを使用します。JavaScript のファイルの取得には、サーバー設定でクロスオリジンリソースシェアリング (CORS) の許可が必要な場合があるので、注意してください。
次に、model.json ファイルの URL を指定してモデルを TensorFlow.js に読み込みます。
// JavaScript
import * as tf from '@tensorflow/tfjs';
const model = await tf.loadLayersModel('https://foo.bar/tfjs_artifacts/model.json');
これでモデルを推論、評価、または再トレーニングする準備ができました。例えば、読み込んだモデルは即時に予測に使用することができます。
// JavaScript
const example = tf.fromPixels(webcamElement); // for example
const prediction = model.predict(example);
多くの TensorFlow.js の例 はこのアプローチを採用しており、Google Cloud Storage 上で変換されてホストされている事前トレーニング済みモデルを使用しています。
model.json
ファイル名を使用すると、モデル全体を参照することに注意してください。loadModel(...)
はmodel.json
をフェッチし、それから HTTP(S) リクエストを追加して model.json
の重みマニフェストで参照されるシャードされた重みファイルを取得します。このアプローチでは、model.json
と重みのシャードがどちらも一般的なキャッシュファイルのサイズ制限より小さいため、これらのファイルをすべてブラウザによって(そして恐らくインターネット上の追加のキャッシュサーバーによって)キャッシュすることが可能になります。これにより、後の場面でもモデルの読み込み速度の高速化が期待されます。
サポートする機能
現在、TensorFlow.js レイヤーは標準の Keras 構造を使用した Keras モデルのみをサポートしています。サポートされていない演算やレイヤー(例えばカスタムレイヤー、Lambda レイヤー、カスタム損失、カスタムメトリクスなど)を使用したモデルは確実に JavaScript に変換できない Python コードに依存しているため、自動的にインポートすることはできません。